| 『新約聖書のギリシア語文法』書評 |
『新約聖書のギリシア語文法』を推薦します
広島大学大学院文学研究科教授・日本ギリシア語ギリシア文学会会長 竹島俊之氏
「新約聖書を原典で読もうとする人の座右の一冊」
この本は、聖書を原典から真に理解したいという考えと深い信仰心から、長年ギリシアに滞在し、言葉の研鑽に励み、習得が困難とされている現代ギリシア語を見事にマスターした著者が、大阪聖書学院で三十数年来、ギリシア語文法を教えてきた教育実践と深い学識に基づいて記述した文法書である。そして原典からキリストの声を一人でも多くの人に直接聞いて欲しいという熱い情熱が行間に溢れ出ている書である。
とくにギリシア語をはじめて学ぶ者が戸惑い、つまずきやすい、動詞のアスペクトの区別と複雑な変化形がわかりやすく、しかも言語学の観点からも正確に説明されていて、これから聖書を原典で読もうとする人が、導きの書としてつねに座右に置いておく一冊となるだろう。(本書のチラシより)
日本語による最も詳しい文法書
神戸ルーテル神学校ギリシア語講師 正木うらら氏
生きた言語の研究 現場の関係の中で熟成
全3巻、B5版で992ページという日本語で書き下ろされた最も詳しい新約聖書のギリシア語文法書が、この春(2003年5月)誕生した。誕生したとはいっても、著者が大阪聖書学院で四十数年間にわたって教鞭をとる中で、積み重ね研究され、改訂され、使用されてきた教材を、日本コンピューター聖書研究会の諸氏が変換電子化し、この度の出版となったもので、この大著が求めやすい価格で公になった過程は奇跡に近い出来事のように思われる。
この書には、独自の工夫が散りばめられている。聖書以前から現代までを見据えてギリシア語を生きた言語として捉えつつ、新約聖書が書かれたギリシア語を効率的に学習するために必要な事柄が、細部に至るまで緻密に構成されている。
特に複雑な動詞体系の全体像を三次元で提示した「ギリシア人のあたま」は圧巻である。さまざまな語形で現れる動詞の時称語幹を「アスペクト」の違いとして明確に解説し、直説法の六時称を徹底して習熟した上で、他の品詞へと進む。
各課ごとに詳しい注が付され、不規則に見える語形変化に対する「なぜ」という疑問にも実にていねいに答えられている。練習問題はシンプルなものから始めて、次第に新約聖書の本文に近づくようにと配慮され、さらに各所での統語法の例文には聖書本文が豊富に的確に引用されている。
内容は学術的でありながら、説明はそこで語られているかのように実に読みやすく分かりやすい。それはこの書がいくつかの「師弟」という現場の関係の中で熟成されてきたからであると思われる。ギリシア語を生きた言葉として使いこなすまでに至ったアテネ時代の著者自身の師へのあふれる感謝、「教えることによって身に付く」と表現される教室での日々の学生との関わり、さらには主ご自身を師と仰ぎ、その言葉と内容に近づき、イエス・キリストの福音を原典から読み取り分かち合いたいという願い、それらのすべてが特色となって現れている。これからもこの書が、そのような生きた「関わり」の中で広く用いられることを願うものである。(「クリスチャン新聞」2003年11月2日号)