●神学書はなぜ高いのか
書店でベストセラーや話題の本などを手にとって見ていると、やはり価格に目がいき、「安いな」と思います。ハードカバー(上製)で260頁くらいの本が1300円などということもあります。とてもではありませんが、弊社ではこんな価格はつけられません。
「神学の本は高い」とよく言われます。自分が一読者として本を買っているときもそう思っていました。A5判の280頁の本がハードカバーとはいえ5800円だなんて……のように感じたことは何度もあります。他の専門書と同じように、高価格の理由は販売実数にあります。キリスト教書の場合、軽い読み物で初版1000〜2000部、堅い神学書だと500〜1000部といったところではないでしょうか。当然、初版だけで終わるケースも普通にあります。
以前、筆者がキリスト教とは関係のない実用書の版元にいたときには、初版5000〜7000部は当たり前でした。ほどなく売れ、再版することは自然の成り行きでした。当然のことですが、多く売れるから安い値段を付けることができるわけです。
ある先輩の編集者が「神学の専門書を出す場合、部数は数百のこともあるので、読者の顔が見えるようだ」と言っていましたが、この感じがわかってきました。
部数が出ない専門書の場合、「600部くらいは出るだろう」などと、老舗の出版社でもいろいろ考えながら経験とデータの「読み」で定価を決めるそうですが、赤字にならないようにするためにはどうしても単価を上げるしかありません。
価格を下げるためには、関心のあるキリスト者に書籍を買っていただくしかないようです。カトリック・プロテスタント合わせてキリスト教人口100万人がマーケット。カトリック教会を例にすれば、信徒は40万人。そのうち実際に自覚的に教会につながっている人は、3分の1くらいでしょうか。とすると期待できるのは13万人となります。
いまなら5000円をつけて出そうと思う神学書を、もし13万人の20分の1、つまり6500人の信徒が購入してくれるのなら、半額の2500円で出版できるのではないかと思います。あるいはもう少し下げられるかも知れません。「6500人」は全国のカトリック教会を800教会とすると、1教会あたり8人となります。
「みんなで買えば安くなる」。悪いシステムではないと思うのですが。(N)