『生命哲学』内容紹介

生命倫理を超えて―― いのちを問う哲学

臓器移植、出生前診断、クローン技術、自己決定権、延命措置、生命の発生……
現代社会の抱える諸問題を哲学者の立場から、科学、医療、宗教の各界へ問題提起する

長年、上智大学とスペイン・コミリャス大学で倫理学、哲学思想史を教えてきた著者の論文集。
 日本で「生命倫理」(バイオエシックス)というジャンルを確立することに貢献した著者が、バイオエシックスの現状について、いまだ基礎的な議論が十分になされていないにもかかわらず高度に専門的になりすぎ、本来の趣旨からそれてしまった、と説く。

本書では、ポスト・バイオエシックスの時代にある今こそ、哲学の視点から生命倫理を見直すべきであると主張する。現代における生命倫理の問題点は、病院の非人間化、死に直面した人に対する過剰医療、医療制度の在り方、医療への不信、現代文明における科学技術の一人歩きなどにこそあると指摘する。

生命の終局である死の問題については、生物学的視点からではなく、人間的・社会的に捉えるべきであると論じ、従来の死生観を乗り越えようと試みる。

 キリスト教世界への提言としては、福音こそが生命倫理と取り組むキリスト者を支えるものであるとし、これまでの教会の教えを概観しながら、倫理神学の新たな展開の可能性を示唆する。


 専門的な内容だが、問題を理解するために分かりやすい事例を取り上げて解説しているので、勉強会のテキストなどに最適。


戻る